【デンマークのリアルを解き明かす!?現場訪問レポート①】Ørestad Plejecenter - CANVASHIP

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2021.03.25 Blog

【デンマークのリアルを解き明かす!?現場訪問レポート①】Ørestad Plejecenter

こんにちは、CANVAHIPのAyaneです!

この【デンマークあちこち訪問記】では、そんな施設や学校の一部をみなさんにご紹介します。
プログラムで行く場所のイメージをつかんでもらえれば嬉しいです(^^)/
※実際のプログラムで訪問しない施設も含まれます。あくまでも参考としてご覧ください。

 では第一弾、Ørestad plejecenter(オアステル プライエセンター)いってみましょう!

(画像はJJ ARKITEKTERのHPからお借りしました)
 こちらは介護付き高齢者住宅、いわゆる老人ホームです。この施設、私はとてもデンマークらしい場所だと感じました。

・一度見たら忘れられないデザイン性の高い建物
・入居者、介助者、そして地域の人のことを考えた内部のデザイン
・入居者がより良い人生を送れるように「芸術と文化」にフォーカスしたという施設コンセプト

…など見どころがありすぎます。
一つずつご紹介しますね。

1.デザイン​

まずなにより目を引くのはその外観のデザインではないでしょうか。
私も事前にHPで見てはいましたが、実際に見るインパクトはすごいです。
すごいです。(2回言っちゃうくらい)
バルコニーがぽこぽこと飛び出したような形で、飛び出す方向も一つずつ違います。部屋によって少しずつ見える景色が違うなんて、館内を歩き回るだけでも楽しめそうな遊びゴコロあるアイデアですね!

 こちらはデンマークの建築デザイン事務所 JJW ARKITEKTERが設計した施設で、なんとコペンハーゲン市営の施設なのです…!
 鮮やかな外観とは打って変わって、内部は落ち着いたトーンでまとめられています。よく見るとあちこちに使う人のことを考えた工夫がほどこされていました。

 例えば『色』の工夫。

これは入居者のもとに届く郵便物のためのポストなのですが、ぱっと見て自分のポストが探しやすいように、階ごとに色が塗り分けられています。
 また館内の廊下や壁はエリアごとに塗り分けられていて、直感的に「ここは共有エリアだな」と分かるようになっています。

他にもトイレやトレーニングルームの部屋のドアに大きくマークを施すことで、目が悪い方や車椅子を使っている方でも認識しやすいようになっています。

これらのアイデアで文字による表示を減らすことで、この施設の目玉であるアート作品が映えるようになったり、必要な情報が入居者に届きやすくなっているのではないでしょうか。

 入居者の方には認知症を患っている方もたくさんいます。この施設ではそんな方たちがほっとできる一工夫も見られました。
 そのひとつがこちら、館内の廊下にある小さな展示箱。

ここには毛糸のぬいぐるみが飾られていました。職員の方に話を聞くと、今入居している方が若い頃に親しんでいたものを中心に展示しているのだそう。
 アートという『今』を楽しむ時間を大切にしながらも、入居者の『過去』楽しんできたものにも寄り添う気持ちが感じられます。

 同じ理由で館内にあるインテリアは1940〜60年代のデンマークデザインのものを多く取り入れているとのことです。クラシックな家具はそれだけ多くの人たちが若い頃に馴染んだ思い出の品だからとのことですが、歴史あるデザインのインテリアが多く流通し、高価でもホンモノを長く大切にする文化があってこその考え方ですね。

2.「芸術と文化」

 先ほど、ここは「芸術と文化」にフォーカスしていると書きました。
実はコペンハーゲン市内には他にも色々な特徴を持つ高齢者施設があります。例えばアウトドアライフや動物との触れ合い、ハンドクラフト、またはLGBTの方を多く受け入れているという施設などです。
このようなテーマを掲げた高齢者施設は日本では珍しいのではないでしょうか?

館内には入居者が描いた作品だけでなく、地域住民との交流で描かれたものや、本物のアーティストの作品まで飾られています。
 アーティストの作品は一定期間レンタルしているそうですが、なんとレンタルできる作品のリストがあり、どれをレンタルするかは住民と話し合いながら決められるそうです。
 また、私が見学した次の週には、地域の方も自由にアート作品を見学できるエキシビションのような催しが行われるとのことでした。
 話だけ聞くとどこかの美術館のことかと思ってしまいますね。

 絵画だけではなく、ミュージシャンを呼んでミニコンサートを行ったり、演劇が行われる日などもあるそうです。高齢で身体の自由がきかなくなっても、たくさんのエンタメを楽しめるのは嬉しいですね。

3.この施設が特別なのか?

 デンマークではここ以外のいわゆる普通の高齢者施設であっても、入居者が何をするのが好き・嫌いか、何をしているときに自分らしく居られるのかということを考えながら介護や支援をしているところがたくさんあります。
 もっと言うと、デンマークでは学校教育や子育て、人生観においても「自分はなにをしたいのか」ということを考える時間を大切にしている国だと思います。幼い子どもの頃から「あなたはどうしたいの?」「それはなぜ?」と聞かれ、その思いを尊重してもらえるという経験を繰り返してきているデンマーク人。そのため自分の好きなことは堂々と好きだと言うし、他人の好きなことも受け入れるという価値観の土壌が出来上がっています。

 なので、このØrestad Plejecenterは芸術と文化に特化した施設だという特色はありますが、その根本にある思いはこの国では特別なことではありません。

 自分の人生を豊かにするために、自分の好きなことをする。
 それは何歳でも同じこと。

 いたってシンプルです。

 いかがでしたか?

 こんな感じで私が見てきた施設や学校などを紹介していこうと思っています。
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